フランスビジネススクール留学メモ

フランスはグルノーブルのビジネススクール(Grenoble Ecole de Management)に通ってます。専攻はファイナンス(Master of Finance)。経験したことや思ったことなどゆるく書き留めます^^

プロフェッショナルキャリア

前回の投稿から四ヶ月空いてしまったが、生きてる(笑)...
PhD応募の結果は非常に残念ながら全部リジェクト。教授との事前コンタクトも含めて確実に狙えるポジションを探すべきだった。有名大学に応募してたんで、競争が激しいというのはあるけれど、他の人も巻き込んだより万全な対策ができたととても後悔。次のチャンスがあれば、この失敗が活きるようにする...
博士課程は五年程度で終わるが、その後のアカデミックキャリアは続くので、より長い目で見ると、20代で博士課程を「終えなければならない」というわけではないかな。勿論、早ければアドバンテージだけど、専門的な実務を通じて考え方や問題意識を成熟させた後、それをアカデミアに持ち込んで研究して、解決した内容を実務に活かしたり(簡単に言うけど...)、そーゆーフレキシブルなの(特にマネジメントの分野では)アリだと思うので、研究キャリアへの思いはまだ頭の片隅に残す感じ。
修論を終えた後、5月中旬から就活をしておりました...二ヶ月経て、アクサ生命のファイナンシャルコントロール部門の新卒ポジで内定を得ました。8月からジョインになりそーです。実務と学術の関係性を長期的に意識するだろうけど、短中期的(約10年スパン)には、CFA取得も含めて、経理財務のプロを目指していくビジョン。選考プロセスでは泥臭い仕事も多いと何度も釘を刺されたが、頑張っていく(笑)。大学の方では、卒業判定会議がここ最近あったようで、MSc Finance with distinctionを授与されることが決まりました。日本語では「金融学修士」となるのかな、とりあえず良かったです(笑)。

プランB

現時点でPhDに応募した10校中4校からリジェクト。
インタビューには未だ呼ばれず。マネジメントPhDは分野ごとに100人以上から2、3人選ばれる感じなので、相当有望な候補は2月までにはインタビューに呼ばれて、さっさと合格になるのだろう。全体の何%がショートリストされるか分からないけど、相当有望な候補がオファーを蹴ったときに、ショートリストされた学生の内ランキング上位からインタビューに呼ばれる感じか。3月中旬から下旬にかけても一切呼び出しがない時は、プランBを真面目に考えた方が良いよね。
プランBは当然就職だけど、コロナ後の戦争で世界経済は大丈夫なのか。GEMの卒業生ネットワークや日本人留学生向けの採用サイトを利用して、アプライしまくるしかないけど、これまた長期戦を覚悟しないといけない。事業会社の財務か金融機関か、そもそも絞る必要があるのか分からないし、ゼロからスタート。レベル1は折角突破したので、CFAの勉強は復活させる感じ。それとは全く別に、最近興味を持った複雑系科学とその金融経済学への応用に関しては自分でゆっくり勉強しても良さそう。タイミング良ければ、また大学入り直すみたいな。という感じの方向性をふわりと想定したが、とりあえずは論文が来月末締切なので、そろそろ本気出さないと(笑)。ファイナンスも不確実性こそ忌むのであって、良くも悪くも定まれば問題にしない、と強引に結論。来月末までには色々と定まるかな...

生物学PhDに変更

新年初投稿が二月。
論文締切は4月末だけど、別事に気を取られていたのもあって、ここ数ヶ月はやる気をなくしていた。今も本調子に戻るか否かの狭間(笑)。そもそも具体的な研究内容に対する興味が薄れてきた。「テーマを決めてしまえば、データを集めて統計分析をして終了」感が否めない。とは言いつつ、今回の執筆経験は、優れた問題設定と分析後の考察を可能にするための訓練ではある。それを除いても、技術的な問題に対する一つの簡単な答えを示せる予定でもある。
具体的には、時間変化するシステミックリスク指標の算出。それぞれのリスク指標の数学的な定義は、バリューアットリスクのように単純だけど、どのように推定を実装するかについては先行研究ではそんなに明らかではない。自分が理解できた範囲、持てる技術の範囲でどうやって解決したかを具体的に示すことは、少なくとも後続の学生にとって参考となるかも。
具体的なことは置いておけば、「金融危機」という対象は興味を持つに値しそう。複雑化する金融商品のリスク評価(物理学PhDの仕事とも...笑)は難解で一部の人しか理解できないし、ある金融市場で起きたショックは容易に越境する。関係性が集結するハブがあると簡単に越境して、遠くまで影響を及ぼすのに時間を要しない、って最近読んだ「進化思考」(太刀川英輔さん著)にあった。ポジティブなら良いけど、この場合ネガティブスピルオーバー。現代に生きる我々は自らを取り巻く生態系に対する理解が重要...ん〜inspiring。やはりファイナンスPhDじゃなくて生物学PhDに変更だ(笑)。「ファクトフルネス」(ハンス・ロスリングさんその他著)でも、これからの時代の脅威の一つとして「金融危機」があった。ちなみに「感染症」は的中。人工物(金融市場)か自然物(ウィルス)の差はあれど、どちらも歴史的には今に始まったことではないので、この先もあるってかい。
自分ではない事物との「関係」ってこの先の人生テーマになりそうな気がやんわりしてて。まぁ「僕が」というより時代的にもそうか(笑)。と思えばつまらんけど。人間関係や社会との関わりというコンテクストだと、社会学者の宮台真司さんの本を色々漁ってみたら、「日本社会における感情の劣化」ってあった。自分も寂しいタイプかもと危惧。まぁそれは置いといて、技術的な克服やイノベーションが相当ない限り、ミクロな視点で研究してもつまらない。上位の問題意識からブレークダウンするかして今の小さな研究テーマを設定したい。けど上位の問題意識って、大学で専門の勉強していても絶対持てないなと。分野横断的な学習をしていれば比較的容易かもだけど、色々混ざり合って動く社会で感情を揺さぶられないといけないとも。社会が目先の目標達成に忙しくすぎてもどーかと思うけど。そんなことをPhD10校中2校リジェクトされた今考えた。

PhD出願完了

前回の投稿から数ヵ月ぶりとなりました(汗)
7月に帰国してからPhD出願準備、論文執筆、アルバイトの生活をしてはや半年。昨日をもって合計10校のPhDへの出願が完了しました。ポートフォリオはフランス2校、イギリス1校、カナダ2校、米国5校です。若干計画をミスってトップ校のPhDばかりに応募してしまったので、どうなるか本当に心配。全落ちは覚悟。推薦書は4人の教授に平均6-7通書いて頂きました。TOEFLは7月、GREは10月で終了。エッセイは9月から準備してました。補足資料としてwriting sampleを付与できますが、これには現在の修論概説に加えて、学士論文を丸々英訳して提出しました。翻訳ソフトの助けを借りましたが、気づいたら全部自分で直していました。なんと言うか、もう祈るのみです。全落ちしたら今所属しているビジネススクールの気になる教授(たぶん名前覚えられている...)に直接連絡して、そこでPhDが出来そうか相談しようかなと。それがダメならローカルな就活をしようかなとも(笑)。
おそらく出願書類の本格的なレビューは来年1月からだろうし、ショートリストされたとしてもインタビューは2月頃になりそうなので、一旦PhDについては思考停止します。一方、マスターの論文「も」大変問題です。来年4月が締切なので、計画的に研究しないと笑えない結果となります。

PhD学生と会話して思ったこと

昨日はチャットだったけど、行きたいPhDファイナンスの現役学生(5年目)と話をする機会を頂けた。そのPhDとは、OB含めネットワーキングが進んでたので、最近はその学校に興味が傾倒していた。なので調子に乗って、自分が興味のあるXXXらへんの研究を監督できる教授は例えば誰か?と聞いたときの、返信は以下のような感じ。
「一方でその質問をするのは正しい。他方で、君が明らかなスターでもない限り、ある一つのPhDに合格する確率は非常に低い。というのも選考過程には、君がコントロールできないrandom noiseが多すぎる。たとえ君がgood fitでも、アホな理由でリジェクトされるかも知れない。また、君が挙げたトピックのいくつかは非常に狭く、またいくつかは非常に広く定義されていて(あるいは分野そのもので)、とても誰かの名前を特定することができない。そもそも、教授と学生の仕事内容が一致しないimperfect fitはざらにあるので、君の質問に答えることは本質的に難しい。アドバイスとしては、まずまともなPhDに入って、不確実性が減少するのに合わせて徐々に君自身の人生を最適化していくのが良い。The process is too noisyなので、多くの不確実性が存在する応募段階では、どの教授と一緒に働くかなどと考えるのは時間の無駄とも言える。一方でSoPに書かれた興味は、広くあるいは狭く定義されているかも知れないが、それでも読み手にとっては意味がある(ので、それ自体は悪くはない)。ただそれを元に誰が監督できるかを応募段階で考えるのは至難だし、大して意味はないだろう。」
非常に長文で親切に上記のような話をしてくれました。色々思うけど、一番は「研究において何かを結論することがどれほど難しいか」ということかな。偏見を承知しているけど、international contextにおいて、"軽いノリ"って多いイメージなんだけど、上のように細かく、正確に、ファイナンス人らしく返答されるのは中々ない。

日本にいると若干の疎外感

更新がかなり久しぶりになりました。
相変わらず日本で、修論を執筆しながら、PhDの応募書類を作っているところ。とても有り難いことに、10月から母校の大学で管理会計論のTAをすることになりそうだが、別バイトの固定シフトと重なってしまい、調整が必要(笑)。事前に曜日を聞いておけば良かったと反省している...
ところで、応募校の教授の論文を読んでも本当に何をやっているのか分からない。でも"そんな感じのこと"とその周辺はやってみたい(笑)。なので、SoPにどう組み込めばよいのか分からない。自分が今思いつく程度の研究内容は、現在の浅い知識がベースなので、面白くはない。二年間のコースワークを通して問題意識に変化があるのかな...。アプライ時点でかなりdeterminedだったらいいけど、ふらふらと色んな勉強をかじってきたせいでなかなか厳しい。
ところで、Master's thesisは銀行論をやる。とは言っても、金融機関自体に特別な興味があるわけではなくて、risk measurementとかrisk managementがやりたくて、色々調べてたらsystemic riskの研究があることを発見した。先の金融危機後に盛んになった議論で、定義も学者によってバラバラ。ざっくりと、金融システム内の銀行間の"つながり"のせいで、ある銀行の破綻の影響がそれ以外の銀行に波及して、結果、金融システム全体の機能悪化をもたらすリスクのこと。こうしたリスクを回避しようと思えば、銀行間の"つながり"に注目して、これを定性的に検証するべきというのは普通。だけど、モニタリングのしやすさと市場効率性の観点から、近年は外部からアクセス可能なマーケットデータをもとにこれを定量化する方法が考えられていて....つまりこうして開発されたsystemic risk measureの予測力を評価しようというのが研究内容です。というかEMHの検証に過ぎないのか。まぁ色々調べる内に別の問題意識も得たので、systemic riskやbank regulationはPhDの研究対象としてアリ。
他には...systemic riskと関連して、tail risk。株価リターンを確率分布にした時、実際右側と左側では分布の様子が異なるよってヤツ。皆んな大好きBlack-Scholesでは対数正規分布に従うと仮定してプライシングするけど。左側リターン同士のcorrelationとか、それがどう資産価格にプライシングされるのとか、多分まだ皆んな仕事してる感じ。まぁ論文見ても今の自分にはultra mathematicsだけど。ここら辺で超絶高度な研究ができるようになりたいけど、リスク/リターンの関係性を詳しくお勉強してれば、corporate financeや皆んな大好きESG関連の研究にも貢献できるかな。今はそっちの方が世の中の需要が高そうだけど...

初GRE受験

今日は初GRE受験で東京。
GMATはマスター出願時に三回受けたけど、スコア伸びなかったのでGREにしてみた。個人的にGREのQuantがGMATより簡単だと感じるのと、Verbalを単語勝負に"持ち込みやすい"っていうのがあるのかな。"持ち込みやすい"って敢えて表現するのは、単純に単語だけ覚えれば良いって感じでもないし(知らない単語を含まないたった二行程度の英文であっても、謎に読めないってのはある...笑)、そもそも、TOEFLのReadingでほぼ満点のレベルからさらに数千語ほど語彙を増やす必要があるようで(汗)。思えば、TOEFLのReadingで純粋な語彙問題があるけど、あれはGREと比較して果てしなく簡単だなと。
有難いことに、試験が終わるとVerbalとQuantのスコアをすぐに確認できますっ。初回はV152、Q166でした。ETSによるGMAT換算だと650程度。次を最後の受験にしたいけど、Vは155から160で、Qは一点でも高ければ区切りがつくかなと...。とは言っても、語彙を増やして演習を積むくらいしか対策が思いつかない(汗)。また受験予定校はカナダの三校を除いて、ヨーロッパが中心なのと、アプライするのがファイナンスPhDということを考えると、VのスコアがどこまでMatterなのかね。まぁ高いに越したことはないけど。